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インタビュー

【第1話】「編集」を仕事にする

岩崎 達也

Magasinn Kyoto

Editor-in-Chief, Founder

「編集」を仕事にする

サラリーマンとしての日々の中から少しずつ自分の「好き」を表現し、

紆余曲折を経てゲストハウス「泊まれる雑誌『MAGASINN KYOTO(マガザンキョウト)』」を運営している岩崎達也さん。

4話に渡ってストーリをご紹介します。

1話目は会社員をしながらやりたいことにチャレンジしていた最中の岩崎さんのインタビュー。

「やりたいこと」「好きなこと」「楽しいこと」に自分自身が気づき、実際に仕事にしていくためのヒントをもらえるのではないでしょうか。

 

 

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「やりたい」と「できる」が重なる場所

――「自分がやりたいことがわからない」という人が多い中で、岩崎さんはなぜそれにたどりつくことができましたか?

 

岩崎 まず、リクルートコミュニケーションズ(リクルートの媒体などの制作・マーケティングを担う会社/以下:RCO)で働いていたことが大きかったと思います。「君は何がしたいのか?」ということを、毎日のように問われる環境にあったんです。僕はその中でHR(Human Resource=人材ビジネス領域)とwebの新規事業の部署に長くいて。特にwebの新規事業の部署は起ち上がった最初に配属されて、「何やってもいいよ」と言われたんです。「何やってもいい」って、選択肢が多すぎてすごく難しいじゃないですか(笑)。「自分がやりたいことは何だろう」と。とはいえ無鉄砲に突き進んでも成果が出にくいので、まずできることから形にしていく。今の環境でやりたいことの中から、できることをまずやってみるという行動習慣がついたのが、完全にその時だった気がしますね。

 

――そもそもRCOに入られたのは、どういった思いからきたことなのでしょう?

 

岩崎 最初は、広告のクリエイティブでカンヌとってたりするので、漠然と「かっこいいな」って。でも、それだけではなくて、リクルートは当時「人生広告」という言葉をよく使っていたんですね。モノをたくさん売るための広告もあるけれど、人の人生をほんの少しでも、深くて良い方向に動かせる広告の方がいいんじゃない?と。その言葉がすごく刺さった(心に響いた)んです。確かにリクルートは、就職(『リクナビ』等)や結婚(『ゼクシィ』)など、ライフイベントに強く関わる商品が多いから、必然的に人生について考えるんですよね。そこが非常に僕にとっても大きなターニングポイントになっていて、自然と自分や色んな人の人生について考えたり、すでにあるものを枠売りするのではなく、人生の課題を創造的に解決する手段について、たくさん考える事になりました。

 

――「人生を深く良い方向に動かす」ことに惹かれた原体験みたいなものはあるのでしょうか。

 

岩崎 これは『マガザンキョウト』でも掲げている言葉なんですが、「Life is editorial」。キザな言葉にも見えますが、人生は編集できる、という思いが強くあるんです。というのも、僕は子供の頃からずっと野球をやっていたんですね。本当にプロ野球の選手になりたくて、高校もスポーツ推薦で行って。

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――そうなんですか!

 

岩崎 そうなんです。始めたのは小学校2年生の時。他にも水泳とかピアノとかもやらされたけど、僕の「やりたい」と「できる」がうまく重なったのが、野球でした。それから甲子園でベスト8に入った高校に入り、ピッチャーをやっていたんですけど、肘と肩を壊して、それまで自分を支えていた夢を諦めたのが18歳の頃です。自分はプロ野球選手になるために生きていたのに、何もなくなってしまった。そもそも公立の進学校に行かせたがった親の反対を押し切って、スポーツ推薦で入った高校だったのに、自分はこのまま敗北者として終わるのかと。そういうわけにはいかない、親に「ほれ見ろ」って言われたくない!という思いが強くありました。

 

――親御さんに反対されていたんですか。

 

岩崎 両親とも公務員だったんですよ。地方公務員で。『あなたも公務員になりなさい』みたいな教育方針だったわけです。でもプロ野球を観れば、主戦場は大阪だし東京だしアメリカだし、俺はなんでこんな田舎に押し込められなきゃいけないんだ、って思ってました。自分の可能性を狭められるのが本当に嫌でした。「プロ野球選手になんか、なれるわけないやん!」と言われたら、じゃあなってやる!っていうタイプでしたね。お山の大将的な(笑)。

 

――自信に根ざした怒りですね。

 

岩崎 小5の時、近畿大会で準優勝したんです、ド田舎の野球チームが。目標を置いて、達成できたという成功体験がそこでできたんですよね。その時は、地元にいることしか選択肢が無いのはつまらない、もっと広い世界が見たい!って思ったんです。

 

――でも、その大好きな野球で、夢が潰えてしまったんですよね。

 

岩崎 怪我をしてしまって。途方に暮れました。ずっと泣いてましたし。それで何となく大学に入ってみたら、今まで会ったことのないタイプの人種が山のようにいたんですね。いろんな人たちに、いろんな話を聞きながら「自分の人生をもう一度作っていけそうな気がする!」と思った。まさに「人生を編集」できそうな気がしたんですね。考えてみたらそれまでは、野球をやっていれば、家族とか友だちとか周りの人たちが喜んでくれてたんです。自分はそのために野球をやっていたんじゃないか、と、ある時思ったんですね。つまり、自分がやったことで周りが喜んでくれて、世の中が良くなって、その結果お金がもらえて、欲しいものが変えて、自分らしい人生を送れたらいいな……という願望に行き着いたのが、就活の時でした。

 

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自身と勘違いに追いつく人生

岩崎 もうひとつ「人生は創れる!」と感じる大きな決め手になったのが、自分の家をリノベーションした時ですね。25歳のときに、「都心に住みたい」とか「自分らしい空間に住みたい」とか「でも支出は少なく済ませたい」みたいな条件を重ね合わせたら、「中古を買ってリノベーションするのが一番良さそうだ」という結論に至って。でも25歳で家を買うなんて早い方だし、家族もちょっと心配してたんですけど、やってみたら、あっさりできたんです。好きな場所に、好きな空間を作って、好きな人と一緒に住む。それが達成できたということが、自分の中で大きな経験だったんですよね。しかもそれが『anan』の表紙になったり、いろんな媒体に取り上げられたり、褒められたりする機会が多くて。ひょっとしたら自分はそっちの方に行きたいのかも、って思った最初でした。

 

――お話を伺っていると、とてもポジティブな流れを感じます。

 

岩崎 もちろん、ちょっとした絶望とか挫折とかもあるんですよ。でも、ずっとあるのは根拠のない自信。あと、勘違い(笑)。

 

――例えば?

 

岩崎 『anan』の表紙に載る→「じゃうちの家もちょっとやってみてよ」って言われる→やってみたらすごい喜ばれる→その家がまた紹介される→「僕が作る空間はイケてるんじゃないか」と自分自身が感じ始める→その積み重ねで家にはものすごい量の雑貨やインテリアが集まる→こっちの方に行きたいぞと感じ始める。僕は物事を、コンパス的に考えることが多いのかもしれません。「これ!」とまでは言えないけど、「なんかこっちの方だ!」っていう。その時点での僕の手の中にあったのは、ニューヨークでアホみたいに買い集めた雑貨の山と、何か知らんけど褒めてもらえてるセンス的なものと、RCOを辞めたらもらえるであろう退職金。それだけで「雑貨屋ならできそう!」っていう発想(笑)。これも「やりたい」と「できそう」の合致点だったんですよね。根拠のない自信と勘違いに、自分で追いつくみたいにして、人生を渡ってきた感覚があります。

 

――野球がダメでも人生を手放さずに、次の可能性を見つけてこられた。

 

岩崎 そうですね。「俺には野球しかないから」って野球に関わり続ける友人もいてとても応援しているのですが、僕は別の選択肢をつくって選んだという感覚です。ちなみに僕には弟がいるんですけど、彼は僕を見て育っているのか、野球はせず、非常に安定した人生を歩んでいます(笑)。

 

――興味を持ったものに、純粋にアクションできている感じが鮮やかです。その行動力の、何が原動力ですか?

 

岩崎 何でしょうね……「好き」っていう感覚が、すごくエンジンになっている気はしますね。「もっとできる!」とか「この先にも可能性があるんじゃないか!」って思う時、その先にはいつも「好き」がある気がします。人から「どういう人生を送りたいですか?」って聞かれると、僕はよく「好きな人と好きな場所で好きなことをして生きていきたいです」って答えるんですけど、「好き」を自分の真ん中にちゃんと置いていたいという思いが強くありますね。

 

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――「好き」を真ん中に置くことを判断の軸にした岩崎さんが、RCOを退職して、そのまま雑貨屋の経営者ではなくて転職をされたのでしょうか。

 

岩崎 スキルを身につけるためです。僕は2社目の楽天でも学ばせていただいたなという思いがとても強いです。「やりたいこと」をやるために必要な、「やるべきこと」をできるスキルが身についた。僕は修行の時代と呼んでいるんですけど。

 

――どんなスキルを獲りに行きましたか。

岩崎 英語とEC(※インターネットを介した電子商取引)のノウハウです。つまり、雑貨屋さんをやるための。海外の雑貨を仕入れるわけだから、当然、海外での商談がたくさん発生するわけです。それに雑貨を販売する手段のひとつとして、ECも必要ですし。ただ、楽天は副業禁止なんですね。だからリクルートコミュニケーションズの有給消化中に、京都に雑貨店を作って、ある程度修行に区切りがついたらそっちへ行こうと思っていました。そしたら「ロフトワーク」という会社が僕の会社の仕事だけでない経歴(リノベーション、雑貨屋)を面白がってくれたので、そっちへ移ったという感じですね。「京都で面白いことをしたいから、ぜひ来てください!」と言ってくださって。キャリアプランっていう観点で言うと、一見目まぐるしいかなとも思うんですけど、でもちゃんと主体的にキャリアを重ねられている手ごたえはあります。「キャリア」というより「人生を創る」という感覚でしょうか。

 

野球でプロを目指していたのに、ケガによって諦めるという経験をきっかけに、自らの人生は自らが編集できるということに気づいた岩崎さん。最初から明確でなくても、「こっちの方に行きたい」という自分の感覚を信じ、「好き」を表現することで自分のやりたいことが明確になっていくプロセスはやりたいことが見つからないと感じている人へのヒントになるのではないでしょうか。

 

2話では転職後の岩崎さんのストーリーでお届けします。

 

楽しみにしていてください。

 

 

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