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インタビュー

「人の可能性を広げる」を仕事にする

田中翼

田中翼

株式会社 仕事旅行社

代表取締役

「人の可能性を広げること」に興味がある

今日はお花屋さん、明日は探偵、来週は神主?

大人になった私たちが、まるで「旅」するように、いろんな「仕事」を体験できるサービスがある。その名も「仕事旅行」。初めて聞く仕事や、東京だけでなく海外に至るまで、様々な地域の仕事がホームページにずらっとならんでいる。https://www.shigoto-ryokou.com

人の可能性を広げることに興味がある」という田中翼さんは、2011年、金融機関をやめて「株式会社 仕事旅行社」を立ち上げた。この会社、毎日出社するスタッフはいないという。「みんな、仕事旅行社の仕事をおもしろいと思ってやってくれてるんです。だから週1だろうが週2だろうが、手伝ってくれるのであれば大歓迎です。管理っていう感覚はあまりありません。僕がこの指とまれ形式で始めたプロジェクトに対し、手伝いたい人が現れれば、一緒に始めるっていうかんじですね。」

田中さんは「そもそも人を巻き込むのが好き。」しかし、人を巻き込むのってなかなか難しく感じてしまうことも多いのだけれど、そのコツってあるのだろうか。「無茶を言っちゃう。例えば、もともと企画書を書いた経験がないので、ラフドラフトくらいは作れるけれど、本格的なものは無理。だから、ドラフトを専門の人にバトンタッチしちゃう。自分は絶対背伸びはしない。かっこもつけない。できないとおもったらできないって言う。そうすると『しょうがねぇな』って言ってやってくれることも多いんです。」

田中翼1

 

仕事に対する違和感の目覚め

双子の弟として、教員のご両親のもとにうまれ育った田中さん。家庭では、生徒たちの話題があがり、熱い仕事トークが繰り広げられていたそう。そのなかで自然と「人の可能性を広げる」ことに興味を持ち始めた。公立の小学校、中学校を経て、横浜の高校へ。大学はアメリカに留学をした。留学は兄の影響だった。「兄は高校の時に留学していました。その兄の卒業式で彼の友だちに話しかけたら『ハァ?』って言われて。悔しかったです。英語くらいできなきゃって。」常にお兄さんと比較され続けているので、「負けず嫌いのかも知れませんね。」留学後はご両親の影響もあり、教職をとるためにICUに転入する。

とはいえ、教員になる前に会社員をやってみたいと考える。「最初の就職活動の時は就職先についてはあまり考えていませんでした。ICUだったんで、周りがみんな外資のコンサルか金融に行くんですよ。それこそ先輩が『マッキンゼー決まりました』とか言ってると、後輩たちみんなが尊敬のまなざしでみる。それを見ていて、『俺もそうなりたい』というミーハー感から、金融とコンサルを志望していました。環境に染まりやすいのか、『周りがいいところに行けるんだったら俺も行けるだろう』みたいな根拠のない自信はありました。」

日系の金融に入社し、数年経つと、リーマンショックが起きた。「僕は営業マンとして運用報告みたいな仕事をしていたので、地方に行っておじいちゃんおばあちゃんに泣きながら責められる。つらくて、悪いことしてるんじゃないかって思ったりして、仕事に対する違和感が芽生えてきました。今思うと、相場は上下するのが当たり前なので、それに対して違和感ってのもおかしな話なのですが・・・。」

 

仕事って何だろうな

自分の仕事に感じ始めたモヤモヤを解消しようと、本を読み始める。「当時読んでた本の多くを書いていたのは同世代。読んでると、共感するよりも『あぁ…自分はいまだに読者なのに、彼らは本を書いてる。何してるんだろう…。』って結局焦るばかりで何も変わらない。それで今度はリアルイベントに参加しはじめました。面白そうと思って異業種交流会に参加したり。中には訳のわからないイベントもあったんですけど。」

そんな中、Sow Experience(ソウ・エクスペリエンス)の西村琢さんに出会う。Sow Experienceとは様々な体験をギフトカタログとして提供している会社だ。「すごく素敵なサービスをやっているなぁと思いました。それだけでなく代表の西村さんが僕の同世代で気があったんです。正直に『モヤモヤしてるんですよ』って話したら、『一回オフィスに遊びにきなよ』と。そこでオフィスを訪問することになりました。カチッとスーツ着て、手土産持って行ってみると、全然違う世界がそこにはありました。ポップコーンマシンが置いてあったり、みんなTシャツで働いていたりと、まさに自由な職場環境。そこで仕事の世界ってすごく広いんだってカルチャーショックを受けました。」自分の会社とのギャップに強い興味を持った。

「自分の会社に戻ると、同僚が目に入ったんですよね。僕と同じような体験を求めているんじゃないかな、と。職場訪問を通じて、『働く』ということに対して、振り返ったり、見つめなおしたり、変えたりするきっかけを作れないか。それってすごく面白いよな!と思いました。」

 

仕事を体験する

「そんなときに海外でVocation Vacationっていうサービスがあるのを知りました。一日、プロに弟子入りさせてもらうサービスなんですね。お金を払って職業を体験してもらう、まぁ仕事旅行と一緒ですね。それをみたときに、Sowに訪問という、ある種の1日弟子入りのような体験と重なって『あ、これをやりたい』と思ったんですね。スイッチが入ったというか。とはいえ、すぐに立ち上げられるわけじゃないので起業スクールとかに通い始めました。」

当時、Sow Experienceの代表の西村さんが「自由大学」で「未来の仕事」という授業の講師をしていた。そこに遊びに行って、Vocation Vacationのようなことをやりたいと企画書を練り、話してみたのだそうだ。「そしたら一緒に自由大学で学んでいた内田(現在の仕事旅行社取締役)が面白そうって乗ってきてくれた。一緒に何度も企画を練っては消して、とやっているうちに盛り上がってきて。じゃあ、職業体験受け入れ先を確保しようと、自分が通っていた美容室とか、整体師さんとかを口説き落として、まず旅を3つ作っちゃいました。とりあえず登記だけして、20万くらいで始めました。」ついに金融の仕事を辞め、「株式会社 仕事旅行」をスタートさせる。

 

やりたいことをストレートに言う

しかし、「サービスが珍しい内容だったので、いきなり爆発することはありませんでした。ホームページで販売していたものの、そのページをだれも知らないので、全然申込みもない。もちろんお金にもならない。」そこでバイトを始めた。「30歳を超えてのバイトとか、正直嫌でしたよ。パチンコ屋だったんですけど、一回り以上も年下に『おい、田中』とかアゴで使われる。いろいろ感じるものはありました(笑)」 すでに結婚もしていたというが、「奥さんは『好きにしなよ』って。『うちでグチグチ言われるより、好きにしてるほうがいいよ』って(笑)」自分は実体験として『これは価値があるな』というのは自信を持っていたし、人件費しかかからないサービスだったので、とりあえずやるしかないって思ったんです。」

アルバイトを辞められたのはそれから1年後のこと。お金にもならなくても、ひたすら、「旅先」つまり職場体験数を増やしていった。そのうち、メディアが「仕事旅行」を取り上げ始め、メディアの連鎖が始まる。それにつられて徐々に徐々に事業が伸び始めていく。

「僕、損得の計算なしにやりたいことを正直に言うので、それに共感してくださる方も多い。そのおかげか、共感した仲間がどんどん増殖して。」そして「仕事旅行」は現在につながっていく。

辛いことはあるのだろうか。「収入が不安定なのはつらいですよね。子供ができてますます思いますよね。」

それでも続けられているのは「『自分がいいと思うものを人に伝えること』というか『自分の手で作り上げること』がやりたいし、そっちのほうが面白い。」

 

悩んでいる時点で、もうそちらに向かっている

「やりたいことはいっぱいありますよ。例えば、僕、平塚市民なんですけど、今やりたいのは平塚市の活性化です。ずっと生まれ育った町なんで、好きなんですよ。でも最近はシャッター街とかできていて。治安が悪くなっているような印象なんです。それをどうにかしたいと思います。そのために、今は仕事を通じて、地域活性関係の人脈を作ったり、活性化のノウハウを学んでいる最中です。」

やりたいんだけど、踏み出せない。そんな時が誰にもあって、田中さんのような行動力や思いきりの良さに憧れたりもする。

「思いきりよく、なんていかないと思いますよ。何をとっても。でも風船じゃないですけど、やりたい気持ちを膨らませていると、どこかで爆発する時が絶対来る。『それまで膨らませればいい。悩んだり、妄想すればいい』と、すごく思います。だからもし、今誰かが悩んでいるのであれば『別にそのままでいいんじゃないの?』って思います。悩んでいるっていう時点で、もうそっちに向かってるんだから。ただその風船が膨らむスピードを積極的にあげることはできる。仕事旅行に参加することだって、膨らませるペースを上げる手段のひとつ。現場に行って、刺激を受けて。『あ、こっちだ、あっちだ』って結構はっきり突きつけられるんで。」

やりたい「仕事」を探す旅。悩んで迷って、なにも変わっていないように見えるけど、もうすでに旅は始まっているのかもしれない。

田中翼3

 

 

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